前作『幸福優位7つの法則』のなかで、「成功するから幸福になる」のではなく「幸福な人ほど成功しやすいのだ」と主張した心理学者ショーン・エイカー。

前作が非常に面白かったので、次回作にも期待していたところ、いつの間にか発刊になっている!

それが今回、ご紹介する『成功が約束される選択の法則』です。

でも、この日本語タイトルだと、前著とのつながりがイマイチ分かりにくい。原題は”Before Happiness”となっており、こちらのほうが前作との関係をハッキリ示していると思います。

今回の本で著者が語っているのは、こういうことです。

「幸福感が成功につながる」というのは真実である。しかし、つらい状況や大きな障害に直面している人に、「幸福を感じることが可能だ」と思わせるものはそもそも何なのだろう。同じ立場や状況にあっても、ある人は何かを達成したり幸せになったりできると思うのに、他の人はそんなことは不可能だと思うのはなぜなのか。(p5)

だから、”Before Happiness”

幸福を感じ取る前提条件は何なのかを探るのが、本書です。

幸福と成功を感じ取る前提

幸福と成功の前に来るものは「自分の世界をどう認識するか」であるということだ。幸福になって成功を手にするためには、それらを可能だと思わせるポジティブな認識が必要である。(p7)

ただ、著者の言うポジティブな認識を持つというのは、「単に楽観的になろう」とか、「悪いことを小さく見よう」という話ではなくて。

幸福という状態は、身の回りのネガティブな状況に目をつぶることではない。「自分にはその状況を何とかする力があると信じられること」である。(p35)

ネガティブな状況はある。あるんだけれども、自分にはなんとかする力がある。そう信じられるからこそ、不利な状況があっても解決するために動くことができ、実際に解決することも可能になるのだ、と。

これを読みながら、ふと思い出したフレーズがあります。

「神様は、乗り越えられる試練しか与えない」というもの。

この言葉は、心理学がそれほど発達していない時代に、人間が経験則で編み出した智慧の言葉だったのかもしれませんね。「自分には解決できる」と思えることが、幸福感や成功の前にあるのだとしたら。

特に実践的なヒント

この話に続いて、さまざまな研究結果やエピソードを交えながら「現実をポジティブに捉えるための5つのスキル」が一つずつ語られていきます。

そのすべてを紹介することはできないので、詳細は本書に譲るしかありませんが、その中でも、「これはすぐに使えるな」と思った研究結果のエピソードを2つだけご紹介しましょう。

近いと認識したら本当に目標達成が早くなる

客の半数に「コーヒー10杯で1杯がただになる」というカードを手渡し、あとの半数には「コーヒー12杯で1杯がただになる」というカードを最初の2つのスタンプをすでに押してある状態で手渡した。つまりどちらの場合も、客は無料コーヒーをもらうには、あと10回買えばいい。ゴールまでの距離は同じである。しかし2番目のグループは、最初から有利なスタートを切ったように「認識」した。(中略)ゴールまでの距離は同じなのにずっと近いと「認識した」人たちは、10個のスタンプを集めた最初のグループの人たちよりはるかに早くゴールにたどり着いたのである。(中略)行動に変化を与えるのは、ゴールまでの客観的な距離ではなく、主観的な現実をどう「認識」するかだということである。(p164)

このテクニックを実生活で活かすためのアイデアとして、次のようなアイデアが提案されています。

  • 貯金を始めるとき、ゼロからではなく、最初にまとまったお金を入金してスタートする
  • タスクリストを作るとき、簡単に終わる仕事や、すでに終えている仕事もあえて書き出してチェックを入れる

他にも応用が効きそうです。

影響力を決めるのは大きさよりスピード

ポジティブなメッセージを人に聞いてほしいと思ったら、一番いい方法は誰よりも大きな声で主張することではない。誰よりも先に言うことである。2009年カリフォルニア大学バークレー校のキャメロン・アンダーソンとギャヴァン・キルダフは、興味深い実験を行って「先に発言することの力」を実証した。(中略)信じられないことだが、グループが最終的に出した答えはその94パーセントが、最初に発言した学生が主張した答えだった。その学生は、第三者から見ても社会的影響力があると思えたし、リーダーはいないとわかっているチームメートもまたそう感じたわけだ。(p269)

あるあるですよね。ミーティングですったもんだで議論した末に、結論は最初に発言した人の意見のままだった、とか。私も何度も経験があります。

ただ、経験則でぼんやりと感じているだけでは「使える」ようにはなりません。言語化されることで初めて意識して使えるようになります。

影響力を発揮したいとき、とっても実用的なヒントですね。

今回は文字数の関係で、具体的なヒントは2つしかご紹介できませんが、他にも面白い研究結果が盛りだくさんで、きっと目からウロコが落ちるものもたくさんあるでしょう。

前作『幸福優位7つの法則』とあわせて、オススメです!