第一巻から始めたローマ人の物語も、今回で文庫第3巻を迎えます。

この第3巻から第5巻までは、興奮なくして読むことはできません。

イタリア半島を統一したローマと、アフリカの大国カルタゴが、地中海の覇権をかけて激突した、ポエニ戦争です。

面白すぎて、ほとんど一気読みのような感じでしたた。

「ローマ人の物語」序盤の傑作と言ってもいいと思います。

紀元前三世紀後半、イタリア半島を統一したローマは、周辺諸国にとって無視できない存在になっていた。そのローマに、紛争絶えないシチリアの小国が救援を依頼。ローマは建国以来初めて、海を渡っての兵の派遣を決める。しかしそれは、北アフリカの大国カルタゴとの対決も意味していた――地中海の覇権を巡って争われ、戦争史上に残る大戦「ポエニ戦役」、その前半戦を描く。

 

それでは、今回も印象に残ったフレーズをご紹介しましょう!

自分の強みを活かせる環境を作り出す

執政官ドゥイリスは、カルタゴと同じ五段層軍船をもってしても、海上ではローマはカルタゴにはかなわないと考えた。それで、自分たちの不利をおぎなう目的で、これまではどの民族も船上に設置したことのない、新兵器を考え出したのである。ローマ兵たちはそれを、「カラス」と名づけた。(中略)ローマ人は、この「カラス」によって、自分たちにとっては不得意な海上の戦闘を、得意な陸上の戦闘に変えることを考えたのであった。

当時のローマ軍には、海での戦闘の経験がほとんどありません。それまでの戦いは、イタリア半島内部の戦いであり、海に出る必要がなかったから。

そんな状況にもかかわらず、いきなり、地中海随一の海軍国であったカルタゴと戦うハメになったローマ。

軍船を急ごしらえで造り、海軍の形は整えたにしても、ローマには熟練した船の操り手が足りない。

 

操船技術で劣っていれば、海軍での勝利は難しいと考えられていた当時。

圧倒的に不利な状況を、ローマは、新兵器で覆します。

その兵器の名は「カラス」。

「カラス」というのは、船に備えつけた「橋」のこと。自軍の船から、敵船に打ち込んで、歴戦のローマ兵士を安全に乗り移れるようにするものでした。

いったん相手の船に乗り込んでしまえば、船の上とは言っても、白兵戦。

船の操縦技術なんて関係なくなります。

 

白兵戦であれば、今まで陸の戦いを繰り返してきたローマにとって最も得意とするところ。

「カラス」によって、相手国カルタゴの得意だった海戦を封じ込め、自分たちの強みが活きる白兵戦に切り替えてしまったローマ。

結果は言うまでもなく、ローマの快勝です。

 

「敵の土俵で戦わない。自分たちの土俵に引きずり込む」

戦いの原則を思い出させてくれる、格好のエピソードではないでしょうか。