今日のテーマは、苦手があるから「得意」に出会える。

何かできないことがあるのを、私たちは問題、ダメなことと受け止めがちですが、勝手な思い込みなのかもしれません。

むしろ不得意なことがあるおかげで、得意なことに行き着くことができるんじゃないか、と。

もう少し詳しくご説明しましょう。

「できない」が、得意な道へと導いてくれる

名著『仕事は楽しいかね?』にこんなエピソードが登場します。

ジャンプ力がなかった走り高跳びの選手、ディック・フォスベリー。

それまでの飛び方(垂直跳び)では、彼に勝ち目はありません。

そこで、彼はいろんな跳び方を試行錯誤します。

結果、誰もやらなかった「背面跳び」を編み出しました。

高く跳べないおかげで、新しい武器を発明することができたわけです。

これと似たような話はいくらでも転がっています。

著者たちのエピソード

経済評論家の勝間和代さんも、 『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』のまえがきにちらっとこんな言葉を書いています。

結婚が早くて子供が三人いたことで、時間にかなりの制約があった。制約がない人と同じように時間を使っていてはダメなので、時間の使い方を人よりも意識するようになった、と。

時間がなかったおかげで、「時間を投資する」発想を磨くことができた例ですね。

 

他には、『職業、ブックライター』の著者、上阪徹さん。

ブックライターというのは、著者の方にインタビューをして、本の材料を引き出し、読者が読みやすい形で文章に書き起こすお仕事です。

月に1冊の本を書き上げながら、半年以上先まで予約で埋まってしまう売れっ子ブックライターの上阪さんですが、本を書く仕事なのに「文章力に自信がなかった」と書いています。

逆に、文章力に自信がなかったので著者へのインタビューを工夫して「いい素材」を引き出すことにこだわった、と。

『逆転!』した者の戦い方

また、マルコム・グラッドウェルの『逆転!』は、ズバリ「不利な状況に置かれた人が、有利な人に逆転勝利をおさめるにはどうしたらいいか」をテーマにした本です。

ここでも、不利な状況に置かれた人が「不利のおかげで」、勝利する例がいくつも語られています。

  • 経験のない監督が就任したおかげで、新しい戦い方を取り入れ連勝したジュニアバスケットボールチーム。
  • 識字障害だったおかげで、逆に弁論術が磨かれた弁護士。
  • 勉強ができなかったおかげで、教師との交渉力が身についた映画プロデューサー。

「普通」でさえも武器になる

逆に「自分にはそれほど目立った問題も不利もない。とにかく普通でしかない」と感じるケースもあるかもしれません。

ただ、その場合にも「普通のおかげで」できることもあります。

社会派ブロガーちきりんさんの『マーケット感覚を身につけよう』に出てくる一節。

世の中で最も多いのは「普通の人」であり、一番大きな市場は「普通の人をターゲットにした市場」です。だから、自分が「普通の人であること」の価値を、過小評価する必要はまったくないのです。(p129)

普通であるおかげで、一番大きなマーケットのニーズを捉えて多くの人の共感を得られるんですよね。

苦手「だから」ではなく「おかげで」

今挙げてきたような例を見てみると、私たちが「これが問題なんだ。克服しなければいけない」と思っていることを、一度、疑ってみたほうがよさそうです。

そのために、「だから」を「おかげで」に言い換えてみたらどうでしょう。

不得意があるおかげで、得意が見いだせる。

「忙しいから…」と感じるなら、「忙しいおかげで」。

「普通で何の取り柄もないし…」と思っているなら、「普通のおかげで」。

不得意なこと、できないことは、実は単なる標識です。

「こっちは行き止まりだよー、別の道に行ったらいいよー」と教えてくれます。

そこで別の道に進んでいくと、自分の思わぬ強みに出会えるはずです。