『自分の小さな「箱」から脱出する方法』

タイトルだけ読むとなんの本だかよく分かりませんが、対人関係の悩みについて、大きなヒントを与えてくれる一冊です。

この本を読みおえたときの感覚は、ほかの本とは違っていました。

初めて読んだとき衝撃を受けたのに、書評をなかなか書けないでいたんです。

普通は、インパクトのあった本であれば、どういうところが心に残ったかを書き起こせば書評になります。

 

でも、この本は違っていました。

「インパクトの種類が違う」と言ったらいいでしょうか。「これで問題が解決できるかもしれない!」と興奮するようなものではありません。

「自分はどうなんだろう?」と、どんどん内面に迫ってくるタイプの衝撃です。

ご紹介しましょう。

対人関係の悩みの「根っこ」にアプローチする

対人関係の悩みというのは、尽きることがありません。

家庭でも、職場でも、それ以外でも、どこにいっても人間関係というのはついてまわります。人との関係をすべて断ちきるなんて、どうやってもムリです。

 

だからこそ、対人関係の悩みというのは、とっても深くて尽きないわけですが、それを改善する方法について、「問題の根っこ」にアプローチするのが、本書です。

よく対人関係を改善しようという類のアドバイスとしては、「ほかの人を褒めよう」「相手の立場で考えよう」「自分がされて嫌なことはしないようにしよう」といったことが言われます。

 

けれど、そうしたテクニックを使ったとしても、うまくいくこともあれば、いかないこともある。

私も、例えば誰かに褒められたとき、なぜかは説明できなくても「この人から言われたら素直に聞けるけれど、あの人から言われたら反発する」というのがあります。叱られるときでも、同じです。

この違いは、どこから来るのか?

 

人は、テクニックに反応するんじゃない

大事なことは「人はテクニックに反応するんじゃない」ということです。

では、何に反応するのか?

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』ではこう教えています。「自分のことを、相手がどう思っているか」に反応するんだ、と。

先ほどの例だと、同じ褒めるという行動でも、「相手のことを認めて、心から褒める」のと、「相手のことを本当は認めていないのに、表面的な人間関係だけを取りつくろうために言っている」のとでは、全然違う結果を引き起こす、ということです。

逆に言えば、小手先のテクニックをいくら使ったところで、「自分が相手のことをどう思っているか」が変わらなければ、結果は変わらないということになります。

 

生産的な関係を築くには

テクニックなんかよりも「相手のことをどう思っているかが大事」といっても疑問が出ますよね。

どういうふうに相手のことを考えたら、相手と生産的な関係になることができるのか。

逆に、どんなふうに見てしまうと、ぎくしゃくした関係になってしまうのか。

まず、ぎくしゃくしてしまうのは、他の人を「厄介事」や「モノ」のように捉え、「あいつのせいで自分は…」と他人を攻撃するような見方をしている場合。これを「箱の中にいる」状態とたとえています。

生産的な関係を作ることができるのは、他の人を「自分と同じく、欲求を持った人間」と考えている状態。これを「箱の外にいる」と表現しています。

 

つまりは、人間関係を良くする一番大切なポイントは、「相手のことを責めるでも非難するでもなく、同じ人間としてありのままに見ること」。

結論だけを文字で書くと、あまりにも当たり前のことのようで「何をいまさら」という気がするんですが、それをストーリーの中で、じっくりとかみ砕いて、考えさせながら読ませてくれるところが本書の素晴らしいところ。

だから、この本は要点だけをかいつまんで読んでしまうのは、もったいないと思います。

ストーリーの中で、「普段の自分は、どんなふうにして人と接しているだろうか」と自問自答しながら読み進めることで、この本のエッセンスが活きてくるからです。

対人関係をよくしたいと思っている方は、ぜひ一度、お手に取ってみてください。