最近、「勉強法」についての本をいくつか読んでいます。直近では『たいていのことは20時間で習得できる』を読みました。

内容も面白かったんですが、何より本の構成が珍しい。

本書は、前半部分と後半部分がハッキリと分かれています。

前半は「たいていのことを20時間で習得するためのルール」です。ロジックの部分と言ったらいいでしょうか。

後半は、そのロジックを著者自らが実際にやってみて、ヨガ、プログラミング、タイピング、囲碁、ウクレレ、ウィンドサーフィンといったスキルを、どのようにして練習し、習得していったかという体験談になっています。

しかも分量で言えば、前半が本全体の6分の1、後半が残りの6分の5と、ロジック部分よりも、体験談部分のほうが圧倒的に多いという構成。

通常は、ロジック部分が中心で、体験談部分はそれを補うための例として登場するだけなので、この体験談の多さはかなり新鮮でした。

でも、おかげで、ロジック部分を読むだけなら、ゆっくり読んでも一時間以内で読み終えることができて手軽です。

しかも、「知っていても使えない」となりがちなところを、体験談部分で「ロジックをどう使うか」という点も読むことができます。

早速、ご紹介しましょう!

超速スキル獲得とは

「一般的に考えられているよりもはるかに速く、スキルを習得することはできないだろうか」、それがこの本のメインテーマです。

著者のジョシュ・カウフマンによれば、「可能だ」。

新しいスキルをこれまでよりはるかに少ない時間と労力で、あまり辛さを感じずに習得することはできないだろうか。ぼく自信の経験から言って、それは可能だ。本書は超速スキル獲得の技と科学、つまり新しいスキルをできるだけ早く身につける方法を探求した、ぼく自身の経験を書いている。(p2)

ただ、ここで言う「スキルの習得」というのは、一流レベルまで習得するという意味ではもちろんありません。

私たちが普段、必要とするレベル。実用的なスキルであれば、実生活で活かせるレベル。スポーツであれば楽しめるレベル。

超速スキル獲得法で重要なのは「必要十分」という考え方だ。本書のテーマは、必要十分な能力をどうやって身につけるかであり、世界一流の技を習得する方法ではない。検討するのは学習曲線の傾きが最も大きい部分であり、そこをできるだけすばやく駆け上がるための攻略法だ。(p14)

この考え方を理解するためには、次のグラフが必要でしょう。

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練習を始めた当初は、誰しもがものすごい勢いで上達します。ただ、ある時点から上達がゆるやかになっていき、時間をかけてもそれほど劇的な伸びをしなくなります。

このグラフを見たとき、ふと思い出したのが、学生時代のテストのことでした。

テストでは、平均点くらいまでを取るのは、短期間の追い込みや、場合によっては一夜漬けでもなんとかなったりします。ただ、平均点を超えていくと、やっぱり普段からコツコツ勉強している人たちには勝てません。

普段からコツコツ勉強している人たち(その道のプロ)のレベルまでいくのは、確かに時間がかかりますが、平均点(実用レベル)までを短い時間で駆け上がることは、可能です。

この「ゼロ点から、平均点までの道のりを一気に駆け上がる方法」が、本書の中身だと言ってもいいでしょう。

超速スキル獲得のルール

本書では、全部で10のルールが挙げられているんですが、すべてを紹介することはできませんので、特に印象に残ったルールを3つご紹介しましょう。

目標レベルを明確にする

3 目標とするパフォーマンスレベルを明確にする
目標とするパフォーマンスレベルとは、自分が手に入れたいと望んでいる水準はどのようなものかを、簡潔に表現したメッセージだ。(中略)どう設定するかは、そもそもなぜそのスキルを習得するかで決まってくる。楽しみたい、というのが動機であれば、目標とするのはイライラせず、練習そのものを楽しめるようになる段階だろう。何かができるようになることが目標ならば、まず自分が許容できるパフォーマンスの最低レベルはどこか。(p33)

まずは、超速スキル獲得にとって、大事な点である「どのレベルを目指すのかを設定する」

これは、よく英語を勉強するときなんかにも、口を酸っぱくして言われますよね。

英語を勉強するって言っても、何のためにするんですか?と。

日常会話ですか? 仕事で使うんですか? 洋画をそのままで観たい? ビジネス書が読めたらいい? それとも専門書のレベル?

どのレベルを目指すかによって、まったく必要な時間、必要な勉強法が違ってきます。

まずは、何のためにそのスキルを習得するのか、そのためには、どのレベルのスキルが必要なのかを、「書き出してみる」ことから、超速スキル習得が始まります。

即座にフィードバックが返ってくる仕組みづくり

8 すぐにフィードバックが返ってくる仕組みをつくる
すぐにフィードバックが返ってくると、自然とスキル獲得が加速する。即座に、あるいはほとんど間を置かずにフィードバックを受けられると、それを自分の行動と結び付け、適切な修正をしやすい。(中略)すぐにフィードバックを返してくれるのは、コーチだけではない。ビデオカメラのような撮影機器を使えば、自分のパフォーマンスをチェックすることができる。(p39)

どのレベルを目指そうかは明確になった。

実際にスキルの練習を始めた。そのときに「超速」と「低速」を分けるものは何か。

それは「フィードバックが返ってくる仕組みがあるか、ないか」だと言います。

本当はコーチや仲間と一緒にスキルを磨き、指摘してもらえる環境を作ることができれば、それが一番でしょう。

本からの学びで、一番欠けてしまうのがこの点です。本で学んだことを実践しても、それが適切なのか、実は違っているのか、フィードバックしてくれる人がいません。

なるべく、仲間やコーチといった「フィードバックがもらえる環境を作る」ことを心がけ、難しければ、スマホで動画を撮るなり何らかの形で、自分へフィードバックを返す仕組みを組み込むことで、スキル習得のスピードを格段に上げることができます。

量と速さを重視する

10 量と速さを重視する
デイヴィッド・ベイルズとテッド・オーランドは2001年の著書『アーティストのためのハンドブック 制作につきまとう不安との付き合い方』で、量の大切さを示すおもしろいエピソードを紹介している。
陶芸の授業の初日に、教師は生徒を二つのグループに分けると宣言した。スタジオの左半分の生徒は、最終日までに制作した作品の「量」だけで評価する。一方、右半分の生徒は制作物の「質」だけで評価する、というのだ。(中略)評価の日。興味深い事実が明らかになった。最も質の高い作品は、いずれも量で評価されるグループの生徒がつくったものだった。(p42)

一言で言ってしまえば、「量が質に転化する」という言葉になってしまうのかもしれませんが、改めて、エピソードとして読むと興味深かったです。

私たちは、「習得するのにどれくらい時間、お金がかかるだろうか」「練習に見合ったリターンが得られるだろうか」「練習方法はこれでいいんだろうか」「他にもっといい方法があるんじゃないか」といったことを考えます。

そうした質問も、一度は考える必要があると思いますが、もし「同じ質問」が頭のなかでグルグル回っている状態であれば、迷うよりも始めてしまったほうが速い。「質」を求めるのは大事なことだけれど、そのために「量」が犠牲になってはいけない、ということでしょう。

まとめ

本書の終わりに登場する一文をご紹介して、このブックレビューを終わりにしましょう。

最後に一つだけ。いつ練習するか、という問いへの答えは「今日」しかない。明日ではない。来週でも、来月でも、来年でもない。今日だ。毎朝、あなたは一つの選択を迫られる。これからの人生にさらなる成功と楽しみと生きがいをもたらすスキルの獲得に時間を投資するか…あるいはほかの何かに浪費するか、だ。(p386)

スキル習得について、「経験からなんとなく感じていたこと」を、明確に言語化してくれた面白い一冊でした!

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