『ローマ人の物語』から、印象に残ったフレーズをご紹介しながら書いているブックレビューも、文庫10巻目となりました。

いよいよ、ローマが生んだ唯一の創造的天才、ユリウス・カエサル始動!という感じの一冊になっています。

早速、ご紹介しましょう!

ガリアの諸部族の粘り強い抵抗に苦しみながらも、8年にわたる戦役を制し、ついにカエサルは悲願のガリア征服を成し遂げる。しかしその間、パルティアではローマ軍が敗北し、軍を率いていたクラッススが死亡。「三頭政治」の一角は崩れ、カエサル打倒を誓う「元老院派」はこの機に乗じてポンペイウスの取り込みを図る。新秩序樹立のためのカエサルの壮絶なる孤高の戦いが再びはじまる。

文庫10巻のお気に入りフレーズ

ユリウス・カエサルの人たらし術

兵士たちはやる気充分で、カエサルに、早く攻撃の合図を発してくれるよう頼むほどであった。だが、カエサルはそれをしなかった。兵士たちには、それをしない理由を説明した。攻撃には、地勢が不利であること。不利な地勢で勝利を得るには、相当な犠牲を覚悟しなければならないと言った後で、最高司令官はこうつづけた。「お前たちが、やる気充分でいるのはわかっている。わたしに栄光をもたらすためには、どんな犠牲も甘受する気でいるのもわかっている。だが、わたしが、お前たちの命よりも自分の栄光を重く見たとしたら、指揮官としては失格なのだ」そう言った後でカエサルは、兵士たちに陣営地にもどるよう命じた。兵士たちは、一段と高まったカエサルへの敬慕の念をかみしめながら、最高司令官の馬の後に従った。(p91)

「ローマが誇る唯一の創造的天才」であり、一級の政治家であり軍略家であり、文筆家でもあったユリウス・カエサル。

なぜ彼がそれほどまでに多才であったのかは分かりませんが、その天才性の源の一つは、彼の「人の心の動きを知り尽くしている」ことにあったのではないかと感じるエピソードです。

政治も軍事も、人の協力がなければ進めることが難しい仕事です。あらかじめ部下を選ぶよりは、めぐり合わせで部下になった人たちを心酔させていくカエサル。

個人として能力があるかどうかももちろん大切なことではありますが、個人の力量でできる仕事というのは、どうやっても範囲が限られています。そのときに、どれだけ人の協力を得られるかというのが、仕事が個人レベルで終わるか、もっと大きな影響力を持つかの分かれ目なんだろうなぁと感じます。

また、政治や軍事といった話ではなくても、誰かと一緒に仕事をするのが避けられない日常であるならば、せめて自分も気持ちよく仕事をしたいですし、一緒に仕事をする人もそうであってもらえるように、心がけたいものだと思います。

恐怖を恐れよ

ローマ側は、暗闇の中での闘いで敵を確かめることができないため、苦戦を強いられた。カエサルも書いている。人間は、見える危険よりも見えない危険のほうに、より心を乱されるものである、と。(p133)

このエピソードを読んでいたときに、思い出したのは、あの有名な演説の一句でした。

「恐れるべきは恐怖のみ」

フランクリン・ローズヴェルトが就任演説で語った一句です。

当時、世界大恐慌のさなか、どこまでこの恐慌が続くのか、終わりがあるのか、そういった不安感や恐怖が満ちていたであろうときに、この一句を語りました。

その後には、こう続きます。

「いわれのない、不合理で、はっきりした理由のない恐怖は、撤退を前進へと変えるために必要な努力を麻痺させてしまう」

心配や恐怖というのは自然な感情ではありますし、そのおかげで、危機を事前に回避することもできます。けれど、恐怖には大きなデメリットもあります。

それは、恐怖のなか絶望感に打ちひしがれてしまって、「必要な努力が麻痺」してしまったり、恐怖を回避することばかりを考えて、視野が狭まり、そこにあるチャンスが見えにくくなるということだと思います。

危機察知や、最悪を予想して回避するといったアプローチも必要不可欠ですが、もう一方で「チャンスを見失っていないか」という視点とのバランスを大切にしたいものだと思います。

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