先日、友人と話をしていて、こんな話題になりました。
「もっと早く読んどいたらよかった、そんな本ってある?」と。
即答できなかったんですが、面白いテーマだと思ったので、それ以来考えていました。
例えば「十年前の自分に3冊だけおすすめする本があるとしたら、どれだろう」と。
ようやく考えがまとまってきたので、書いてみることにします。
というわけで、今回は十年前の自分に贈るおすすめビジネス本ベスト3です。
『仕事は楽しいかね?』
書評を書いたこともありますが、『仕事は楽しいかね?』を1冊目に挙げます。
これを10年前に読んでいたら、もう少し早く「歩き始める」ことができたかもしれません。
10年前の自分よ、君はずっと二の足を踏んでいるな。
君はムダが嫌いだ。ムダな努力をしなくてすむように、きっちり計画を立てて、そこから逆算して何をやるかを決めようとしている。時間をムダにすることが最大の失敗だと思っているし、計画がきっちりしていればムダを減らせると思っている。
君は、計画や目標をなんのために作るのか勘違いをしているようだ。「ムダを減らすために作る」んじゃない。「前に進む」ために作るんだ。「出来上がるまで、前に進めなくなる目標」なんだったら、そんなものは要らないよ。
「ムダが出たかどうか」なんてことで成功・失敗をはからずに、「前に進んだかどうか」ではかるべきなんだ。
多少なりとムダが出たとしても、前に進んでいるなら「まずはよし」と考えないと、何もできはしないよ。何だって、やり始めたときにはコツが分からずに、ムダだらけなんだから。
君は、ムダのない行動計画を作ろうとしているようだが、ありもしないものを求めているその姿が、結局は貴重な時間を一番ムダにしているんじゃないか?
目標に関するきみの問題は、世の中は、きみの目標が達成されるまで、ジーっと待っていたりしないということだよ。
『スイッチ!』
2冊目には、『スイッチ!』をあげたいと思います。
10年前の自分よ、君は何かをやろうとしては挫折し、嫌になって止めてしまうのを繰り返しているだろう。
できないのは、自分の意志が弱いからだと思っているようだが、それで何かが変わったか? 意志が鍛えられたか?
むしろ逆じゃないか。ますます自分の弱さに嫌気がさして、何をやるにも、もっと億劫になってしまっただけだろう。意志の力が原因だと思うのなら、何も変わらないよ。
君は、「意志の力」を過剰評価している。もっと別のところに、「変われない原因」が潜んでいるのに気づいていない。
『スイッチ!』から学ぶといい。「自分の行動を変えるために、何が必要なのか」を。
変化を支える習慣を生み出すにはどうすればよいか? 注意すべき点は二つだけだ。①目標達成の助けとなる習慣を作ること。②比較的取り入れやすい習慣を作ること。
『記録するだけでうまくいく』
3冊目には、『記録するだけでうまくいく』をあげます。
10年前の自分よ、君の立てている計画は、前提がおかしいんだ。
君の計画を実行するには「勤勉で時間をムダにせず、決めたことをすべて守ることができる」そんな人間が必要だ。
君は、それほどきっちりした人間じゃないだろう。
今の君に必要なのは、キレイな計画なんかじゃない。現実の自分を知ることなんだ。
「実際にどれくらいの時間が自由に使えるのか」「自分がその作業をするのに、何分くらい必要なのか」といった、面白くなく、地味で、場合によっては知ることでヘコむ事実を見ないといけない。
でも、そうじゃなければ、どれだけ計画を立てたところで、前提が「現実」じゃなくて「願望」にもとづいているんだったら、意味がないじゃないか。
だから、現実の自分を知ることから始めるんだ。そのためには記録から始めるしかないんだよ。
10年前の自分に贈りたいのは、細々としたテクニックではありませんでした。今回選んだのは、当時の自分がつまづいていた勘違いを解決する3冊です。
「失敗」への考え方を大きく変えてくれた『仕事は楽しいかね?』
副題の通り、「変われない」を変える方法を教えてくれた『スイッチ!』
そして、時間やお金の使い方を改善するところから始まり、他にもさまざまに応用できる『記録するだけでうまくいく』
とっても面白い3冊ですので、もし興味をひかれるものがあれば、手にとってみてはいかがでしょう。