学習性無力感(学習性無気力)。

「何をしてもムダだ」と感じたら、その無力感が学習してしまって、自発的な行動を起こさなくなってしまう。

その話を聞いたのは、大学の心理学の講義でした。

あまりに衝撃的だったので、今でも記憶にこびりついています。

今回は、学習性無力感について、まとめてみましょう。

  • 学習性無力感とは何?
  • どんな症状なのか、事例
  • 克服のヒント

学習性無力感とは

学習性無力感とは、その名前の通り「学習された無力感」のこと。

学習=後天的に身につけた

ふつう「学習する」というと、「勉強する」「知識を得る」という意味で使うことが多いですよね。

けれど、心理学の「学習」というのは、ずっと幅広い意味をもっています。

知識だけではなくて、

  • 対人スキル
  • 絵を書くといった芸術的な技術
  • 掃除などの日常的な行動
  • 運動

こういったものすべてを含んでいて「何かを経験した結果、その後の行動がずっと変わってしまうこと」を、学習といいます。

なので、学習性無力感というのは、

  • ストレスフルな環境に置かれて、そこから脱出しようとして何度も失敗したり
  • 同じような失敗を繰り返し経験したときに

「何をやってもダメなんだ」と無力感を感じてしまい、次からチャレンジすることさえしなくなる、という現象のこと。

英語では、”Learned Helplessness”といいます。

学習性無力感が一般的な訳語ですが、「学習性絶望感」「獲得された無力感」「学習性無気力」と訳されることもあります。

心理学者セリグマンの「無力感」実験

この学習性無力感の概念を提唱したのは、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンです。

犬を使った実験が有名です。

予告音が鳴ったあとに犬に電気ショックを与える、という装置を用意します。

電気ショックが来るのは床から。

なので、予告の電子音が鳴ったあとに犬がジャンプすれば電気ショックを回避することができるようになっています。

次に、実験に参加する犬に、いくつかのグループを作りました。

  • 1:事前に別の装置で「何をやっても電気ショックを回避することができない」という経験をした犬のグループ
  • 2:事前に別の装置で「パネルを押すことで電気ショックを回避できる」という経験をした犬のグループ
  • 3:事前に何の経験もしていないグループ

この3つのグループで実験を行うと、一つめの「何をやっても回避することができない」という経験を持っていたグループは、他のグループの犬がジャンプして電気ショックを避けるのに比べて、回避行動をとる率が低いという結果に。

この結果をセリグマンはこう解釈します。

事前に「何をしても回避できない」経験をしてしまったために、「何をしてもムダだ」と無力感を学習してしまった。

環境が変わっても、「何をしてもダメだ」という無力感が残ってしまい、行動を起こさなくなるのだ、と。

その後、別の心理学者が、大学生を対象にした実験を行い、そこでもやはり「無気力を学習する」現象が確認されます。

学習性無力感の実例

もしあなたが、「どうせ何をしてもダメだし…」と現に無力感を感じているとしたら、しかも、過去の経験でそう感じて、その時から環境が変わっているのに、無力感だけが引き続き残っているとしたら、それが学習性無力感かもしれません。

実例1

初めはやる気満々で、上司に「こうしましょう!」と何度も提案していた部下。

却下され続け、「何を言ってもダメなんだ」と思ってしまった。

上司が変わっても「結局言ってもムダだし…」と無力感だけが変わらずに残っている。

実例2

恋人に何度か振られて、「どうせ自分なんて魅力ないし」と感じてしまった。

その無力感が残り続け、次の恋愛に踏み出していけない。

克服のヒント

学習性無力感というのは、「どうせ何をやってもムダだし…」と無力感を学んでしまうことです。

これを克服するためには、「自分の行動に意味がある」という正反対を学習すればいい、ということになります。

無力感だって学習するんですから、その真逆だって学習できるんです。

では、自分の行動に意味があると思えるためには、どうしたらいいでしょうか。

小さな成功体験を重ねる

まずは、小さな成功体験を重ねるというのが効きます。

例えば、ちょっとした目標をつくってそれを実行する。

実行できたら「できた」と記録に残して数えていく、といったようなことです。

そうすれば、「何をしても結局ムダなんじゃないか?」とささやきが聞こえてきても、記録を見返せばいいんです。

「ムダじゃない」という証拠を残しておくと、無力感にさいなまれることは大きく減ります。

「変わっていること」を考える

環境が変わっても、無力感だけが学習されたまま残っているのが問題なので、環境が変わっているのを自問自答しながら確認する、という方法もあります。

  • 自分が無力感を感じた状況と、今とは同じでしょうか?
  • 相手は同じですか?
  • 環境は同じですか?
  • 自分もその時と同じでしょうか?

違うのなら、また同じ失敗をするとは限りません。

昔、無力感を感じた状況と、今は違う、ということを一つひとつ確認していきましょう。

まとめ

学習性無力感にどう対処していくかは、とても大事なテーマじゃないでしょうか。

誰しも「何をやっても効果がない」と感じる体験はあるものです。

そんなとき、「学習性無力感というものがある」と知っているだけでも、無力感に陥るのを予防する力になりますよ。

スポンサードリンク

【コーチングについてのご案内】

コーチングについて、ご興味のある方はこちらまで

新規のコーチングの受付状況

・5月:残1名

・6月:残1名

・7月:残3名

なお、その他のお問い合わせはこちらのフォームからどうぞ!