今回は、経済評論家・山崎元さんの著書『学校では教えてくれないお金の授業』の書評をお送りします!

お金って大事ですか?

そう聞かれたら、全員が「大事だ」って答えます。けれど、義務教育ではお金のことってまったく出てこない。

タイトル通り、「学校では教えてくれない」です。

学校で教えてくれない分、それぞれが持っているお金の知識は本当にバラバラで、「知っている」と「知らない」の紙一重の違いが、ものすごく大きな差を生みます。

これは、私も金融業界で働いている人間として毎日肌で感じていることです。

そこで、「じゃあ、お金の知識を学ぶとしたら何を読んだらいいいのか?」と言われたら、私がおすすめする一冊がこれ。

『学校では教えてくれないお金の授業』

『学校では教えてくれないお金の授業』というタイトルですが、お金に関するいろんなテーマがこれ一冊で網羅されています。

  • そもそもお金とは何か
  • お金があれば幸せになれるか?
  • お金と付き合うポイント
  • お金を貯める方法
  • 銀行や証券会社との付き合い方
  • 金融商品の良し悪しを判断するポイント
  • 大きな買い物の前に知っておくべきこと(マイホーム、生命保険、自家用車)
  • 投資でお金を増やすには(株式投資、投資信託)

すごい。主要なテーマがほとんど網羅されています。

やっぱり何を学ぶにしても、全体像をザクっと掴めるかどうかで、その後のスピードが全然変わります。

この1冊でお金の知識の全体像は押さえられるので、この本の後に、個別のテーマの本を読んでいけばいいと思います。

印象に残ったポイント

不幸を避けるためのお金との距離感

ボリュームがありますので、すべてを紹介することはできませんが、印象に残ったフレーズをいくつかご紹介しましょう。

お金に対しては、永続的に価値を持った絶対的なものである、という思い込みをやめ、一歩引いて客観的に考えられるような、少々ドライな距離感を持つことこそが、長い人生をお金と冷静に付き合っていくために必要なのではないでしょうか。(p25)

まずは「お金に対する考え方」ということで、こうした話から始まります。

マネー本のなかには、「お金はあればあるほどいいですよね! いかに儲けるかをお伝えしましょう!」といったように、ちょっと煽り気味に展開していく本もある中で、ドライな距離感を持つのは、お金に振り回されないためにとても大事な視点だと私は思います。

私は山崎元さんの本が全体的に好きなんですが、その理由はこの2つ。

  • 全体的に率直だと思えること
  • 地味で人気の出ないであろう大事な点にもきちんと触れていること

率直なゆえに「身も蓋もないこと」も結構書いてあったりします。

金融機関との付き合い方

率直な山崎さんならではと思うのは、例えば金融機関との付き合い方について触れている部分。

著者自身が金融機関に属す身でありながら言い切っています。

そもそもの考え方として「信頼できる金融機関」という曖昧なものの存在を信じている時点で、問題です。金融機関というのは、その利益構造からみても、「あなたから儲ける組織」であって「あなたを儲けさせる組織」ではありません。(p90)

身も蓋もないですけど、その通りだと思います。

金融機関で働いている人間には、どうしても「お客様から手数料をいただく」というインセンティブが働いていますから。

これを知っているだけで、銀行員や証券会社の人間の言うことを鵜呑みにして大きな判断をしていいのか立ち止まって考えることができるはずです。

お金を貯めるための定説

また、好感を持っている2つ目の理由、「地味で人気が出ないような大事な点」にも触れているというのは、例えば、「お金の貯め方」についての部分。

お金の貯め方については、「定説」といわれる考え方があります。それは、収入から支出を引いた残り、つまり日々の生活に使ってなお余ったお金を貯蓄に回すのではなく、給与などの収入から一定の金額又は割合をあらかじめ「天引き」して貯蓄し、残ったお金を生活費にする、という考え方です。(p51)

他にも、「ローンがある状態で投資をするくらいなら、ローンを先に完済するほうがよい」といった部分など。

住宅ローンなどを含めて借金がある場合、まずはその返済をする方が、借金をしたまま資産運用を行うよりも効果的です。(中略)金利三%のローンの返済をすることは、「三%の金利で運用できる」のと同じ効果があるだけでなく、ローンの返済は「リスクゼロの運用」である分、同じ三%の金利の運用商品よりも有利です。(p110)

この辺は、「貯金しても増えませんよ。超低金利ですから」とか言って、リスクの高い投資を煽るような人もいる中で、確実な貯金法、ローン返済は投資より優先といった大事な部分をきちんと取り上げている点、いかにも「お金の授業」です。

 

全体を通じて、「大事なテーマがきちんと網羅されていて、率直で、分かりやすい。三拍子揃ったマネー本」という印象でした。

お金の知識を勉強するときに「最初にこの一冊!」という定番本になると思います。

『学校では教えてくれないお金の授業』タイトルに偽りなしです!