先日、倉下忠憲さんの本『「目標」の研究』を読みました。

参考:機能する目標をどう作る?誰も教えてくれなかった目標の立て方。書評『「目標」の研究』

本書をきっかけに改めて「目標との上手な付き合い方」を考えています。

今回は、目標と上手く付き合うための工夫をまとめてみたいと思います。

目標との付き合い方は、その人の性格によるところがけっこう大きいと思いますので、一例としてどうぞ。

いわゆる「目標設定」は苦手だった

僕は、もともと目標設定が苦手でした。

「苦手」というか、意味があると思えなかったんです。

王道のように語られる「一年後や五年後の目標を決め、それから逆算して直近の目標を設定する」のに、どうしてもなじめませんでした。

理由は次の通りです。

  1. 三か月後のことさえ分からないのに一年後、五年後のことなんて「妄想」レベルにしかならない気がする
  2. 数値化によって失われるものが大きい
  3. これやりたいなーと目標を立てても、そこから数値を逆算するうちに「楽しそう」よりも「しんどそう」が強くなっていく

目標への疑問

では、僕が持っていた疑問をもう少し詳しく書いてみましょう。

1. 一年後、五年後のことを「計画」できる?

『仕事は楽しいかね?』に登場する老賢人マックスがこう語っています。

目標や夢がないからという理由で失敗した事業を、僕は知らない。おもしろいことに、夢や目標こそが成功の秘訣だということは数え切れないくらい耳にするけど、いざその夢なり目標なりを実行に移して市場に入り込むと、十人中九人が失敗する。ろくでもない秘訣だね、そんな目標や夢なんて。ほかのみんなもそうだけど、目標に関するきみの問題は、世の中は、きみの目標が達成されるまで、ジーっと待っていたりしないということだよ。(p72)

目標設定をすすめるものには、当たり前のように「一年後や五年後の姿を思い描いて…」なんて話が出てきたりします。

が、そのときに世の中が、自分がどんなふうに変わっているか僕にはサッパリ分かりません。

12月31日に一年を振り返っていると、必ず「こんなことが起きるなんて、思いもしなかったなぁ」ってことがいくつも出てきます。

まして五年後なんてさっぱり分かりません。

まさに老賢人マックスの言うように「世の中はジーっと待っていたりはしない」。

どんなに精緻に目標を立てても、世の中は変わっていきます。

事業計画を立てても、ライバルも動いています。お客様の好みも変わっていきます。

もっと変化のスピードがゆっくりならともかく、がんがん変わっていく中で五年後のことを計画するなんて無理があります。

2. 数値化によって得るもの、失われるもの

また、目標にするときには達成したかどうかが明確に分かる目標にするほうがいい、と言われます。

いわゆる「SMART」を満たすように目標を作るべし、と。

具体的で、達成したかどうか数字で判定できて、期限が明確で…なんて。

それはそれで大切なことです。

けれど、数値化することで失われるものもある、というのは忘れてはいけないと思います。

数値化するというのは、よく言えば「集中と選択をする」ですが、言い方を変えれば「視野を(わざと)狭くすること」です。

結果、数値を追いかけているうちに「何のために始めたのか」が置き去りにされてしまうことが往々にしてあります。

「健康的な暮らしをしたい」と思って、体脂肪率を23%から18%へ下げる目標を立てる。

そうすれば確かに、体脂肪率は減るかもしれません。

けれど、「健康的な暮らし」は体脂肪率だけで達成されるわけじゃないですよね。

他にも、しっかりした睡眠をとったり、ストレス・マネジメントだったり、大切な要素はたくさんあるのに、それがすっぽり抜け落ちてしまったりします。

数値にすると達成しやすくなる半面、視野は狭くなるんだということ。

なので、数値にした目標が、もっと大きな「目的」まできちんとつながっているか、抜け落ちている大切なポイントがないかをいつもチェックすることが必要です。

3. 「しんどそう」が大きくなっていく

僕の場合、将来の目標を設定して逆算していくと、「楽しそう」よりも「しんどそう」が大きくなっていく、という面もありました。

いつも将来の目標を設定しようと思うたびに、以下のパターンを繰り返していました。

  1. 最初、五年後の目標をどどーんと設定する
  2. 逆算していくと、「あれ、こんなの到底ムリじゃね…?」と思えてくる
  3. 五年後の目標を下方修正していって、「あ、これならできるかも」と思えるレベルになる
  4. 気づいたら、五年後の目標が全然ワクワクしない、「現状にちょっと毛が生えた程度」になっている

逆算をしているうちに、いつのまにか「楽しく、充実した毎日を送るための目標」が、「達成するべきノルマ」にすり替わっていく感じなんです。

私の目標設定法

というわけで、いわゆる将来の夢を決めて逆算するというスタイルに、僕はなじめませんでした。

今、僕がしている目標設定は、こんな感じになっています。

1. 自分の「心躍る」姿と、それによって満たされる価値観を書き出す

まず、「こうなっていたら楽しいなぁ」と素直に思える姿を、箇条書きにします。

一部抜粋ですが、僕の2017年の目標欄には、こんなことが書いてあります。

  • ワークショップを主催。「自分らしく生きていい」を体感できる場を提供する
  • 東京に拠点をつくり、誰かを巻き込んだり、巻き込まれたり、わくわくできる活動を加速させる
  • 疲れ知らずの、いつも楽しそうなことに飛びつけるエネルギーがあふれた健康状態をキープする

書き出すときに大切にしているのは、純粋に「心が躍るか」どうか。

「何を達成したいか」ではなく、「どんな自分でありたいか。どんな自分でいられたら満足か」を軸にして書きます。

このシートが、北極星の役割を果たすことになります。

スパンは、一年を念頭に置きながら書きますが、一年で達成できないものでも構いません。

2. 直近のアクションだけを設定する

北極星のシートを作ったら、あとは週に一度、30分ほど「次の一週間の、行動目標を立てる時間」を取ります。

北極星のシートを見ながら、この方向に一歩近づくために今週は何をしよう、と考えてアクションを設定します。

直近のアクションしか設定しないのは、マックス老人のいうように「世の中はじっと待っていてはくれない」からです。

一週間先の行動目標だけを立てるだけなら、それほど時間もかかりませんし、その都度起きる世の中の変化、想定外の人との出会い、ラッキーな成功をいつも織り込んで、次のアクションを立てることができます。

「半年先のことを今決めろ」なんて言われても僕にはさっぱり分からないので、半年先のことは半年先の自分にまかせて、今の自分は今に集中していればいいや、と思っています。

まとめ

いろいろ書きましたが、カーナビを使いながら初めての場所に行く、そんなシーンをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。

最初に「ここに行きたい」というのは設定して出発します。

ただ、その道中をどう行くか、細かい道までわざわざ決めませんよね。

運転している瞬間、頭のなかにあるのは、事故を起こさないようにしつつ、次の交差点はまっすぐ進むのか、右なのか、左折するのか、くらい。

同じように、僕は目標を決めて細かく逆算するよりも、「大まかな目的地」と「直近のアクション」だけを考えるほうが性にあっているみたいです。

誰かが言っていた「うまくいく方法」(この記事も含めて)に惑わされずに、自分にあった目標との付き合い方ができるようになりたいですね。

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