倉下忠憲さん(@rashita2)の『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』を読み終えました。

私は、倉下さんの本のテイストが好きです。

何かを煽るでもなく薦めるでもなく、淡々と所感を書き綴っていく感じが。

「ブログを成功させるために手っ取り早く何をしたらいいか教えてくれ」という人にはまどろっこしいかもしれません。

けれど、自分で考えてブログをじっくり育てていきたい人には、とっても良質な「考える材料」を提供してくれます。

早速、ご紹介しましょう!

章立て

はじめに
第一章 R-Styleビギニング
第ニ章 ブログ及びブロガーについて
第三章 人はどのようにして毎日更新するブロガーになるのか
第四章 ブログの成功法則
第五章 ブログの今と未来
あとがき

第一章は、R-Styleビギニング。倉下さんの10年間と言ってもいいかもしれません。

運営されているブログR-Styleの変遷、倉下さんのブログの書き方の変遷、倉下さん自身がコンビニ店長から物書きへと変わっていった変遷が簡潔に書かれています。

このパートがあるおかげで、その後に続く倉下さんのブログ論が理解しやすくなっています。

第二章は、ブログ及びブロガーについて。

ブログとはそもそも何なのか、ブロガーとは誰のことを言うのか、ブログの収益3つのパターン、ブログの4つのタイプなど、ブログを語る前の基礎知識がまとめられています。

第三章は、人はどのようにして毎日更新するブロガーになるのか。

倉下さん自身のブログに向かう心構え、R-Styleの十戒(R-Styleでやらないと決めていること。名前は十戒だけどルールは9個)、ブログから得られた3つのもの、といった感じで、倉下さんのブログ運営法がまとめられています。

第四章は、ブログの成功法則。

ここでは、もう少し一般化したテーマでブログの成功を考えています。

成功法則とは言っても、いきなり既存の「成功法則」に疑問を投げるところから始まるのが倉下さんらしいところ。ブログの成功=PVという方程式に疑問を投げて、自分らしいブログを運営すること(隠れ家ブログ)の魅力が語られています。

第五章では、ブログと未来社会。

ブログを書くことが情報化社会における「積極的な社会参加」であり、その積み重ねが社会を少しでも良くするものになってほしい、という倉下さんの願いが語られています。

ポイントはたくさんあるんですが、まとまりがなくなってしまうので、「ブログの成功法則」の部分に絞ってご紹介することにしましょう。

ブログの成功法則

長年ブログを続けてきた体験から、私が導き出したブログの成功法則をこっそりお教えしましょう。ほんとうに、こっそりですよ。できれば内緒にしておきたいくらいです。
その法則とは、
続けること。
これです。これに尽きます。えっ、いつまで続けるのかって?そりゃ成功するまでですよ。
No.1109

ブログを続ける秘訣はテーマ設定にあり

続けるためのコツとして、倉下さんが挙げているのが、続けざるをえないことをブログのテーマとすること。

~~するためにブログを書く、のではなく、ついつい~~してしまうことをブログに書く、と視点を転換させるのです。
No.1113

ついつい考えてしまうこと、あるいは黙って聞いていられないこと、「俺にも一言言わせろ!」と思わず言いたくなってしまうようなテーマを自分のブログの軸にすること。

私のブログも、普段から考えていることがそのままテーマになっています。

  • 夢を実現するような生き方をどうやったらできるのか
  • 時間を活用するには
  • お金を上手に使うには
  • 強みを活かすには

よくブログ続けられますねーとか言われることもありますが、私にとっては毎日やっていることを書き出しているだけ。

これを「アクセスを稼ぎやすいから」といった理由で、Apple製品のレビューをするといったテーマにしていたら、絶対に続けられなかったでしょう(もちろん好きな人にとっては最適なテーマですが。私はそうではないので)

そうやって、好きなテーマを選んだのにも関わらず継続できないのであれば、ということで倉下さんのアドバイスは続きます。

  1. 時間が取れない
  2. 書くネタがない
  3. 飽きた

No.1467

1. 時間が取れない

当然ですよね。

ブログを書くっていうのは、今まではやっていなかった習慣を生活に取り入れることです。

ブログを書くために、他のことを止めるなり、効率化するなりして時間を作らないと絶対に書けません。

特に一番つらいのは、タイムラグです。

ブログを始めて「お、確かに生活が変わったかも」と思えるのには、数ヶ月の時間がかかります。人によって期間の長短はあれ、ほとんど何のメリットも生まないように感じる時間を数ヶ月は耐えないといけません。

ブログは確かに楽しいです。人生を変える大きなパワーにもなります。ただ、大きな収穫を得るためにはしばらくの我慢が必要です。

私はこの期間をタスク管理の力を借りて乗り越えました。今でこそ、ブログから得られるものの大きさを実感できているので、止めようなんて露ほども思いませんが、実感できるまでは何度も止めようかと思ったものです。

それでも続けられたのは、やっぱりテーマ設定。

「どうしてもやってしまうこと」をブログのテーマにしていたからというのが大きいです。

2. 書くネタがない

  • テーマ設定がズレている
  • メモを取っていない

No.1488

テーマ設定については、すでに書いてきた通りですね。

もう一つのアドバイスがメモをとること。

冗談みたいで本当にそうなんですよね。ネタがないっていうのは、実はネタがあったのに忘れてしまっている、なんです。

ブロガーだからといって、毎日イベントばかりの特殊な生活を送っているわけではありません。普通に生活しています。

けれど、その普通のなかにこそ「価値あるもの」が眠っているんです。

今、このくだりを書いていて、ちきりんさんの『マーケット感覚を身につけよう』の一節を思い出しました。

世の中で最も多いのは「普通の人」であり、一番大きな市場は「普通の人をターゲットにした市場」です。だから、自分が「普通の人であること」の価値を、過小評価する必要はまったくないのです。
(p129)

そう、ブログを書くというのは、普通の生活の中から宝物を発掘するような感覚です。

そのとき、発掘した宝物、思い浮かんだアイデアを入れておくポケットがメモです。

メモの習慣がないとせっかくの宝物の原石は拾っては落とし拾っては落とし、になってしまいます。

私も、このメモの習慣は相当こだわって、いつでもメモできるよう体勢を整えています。

3. 飽きた

「飽きた」に対する倉下さんのアドバイスは身も蓋もなさすぎて、笑ってしまいそうになります。

この部分は、読んだ方のお楽しみということで倉下さんの解答をそのまま載せることは控えますが、「ブログにはもっと多様のあり方があっていい。個人のメディアなんだから好きなようにしたらいい」というメッセージを私は感じました。

ブログで人生が変わる理由

ブログの成功法則は「続ける」こと。続けるためには、自分が黙っていられないことをテーマにすること。

そこには「アクセスを稼ぎやすいテーマか」「収益性が高いテーマか」といった視点はありません。

PVを絶対の指標とせず、自分のスタイルを貫くブログのことを倉下さんは「隠れ家ブログ」と呼びます。

隠れ家ブログは、別に隠れることが目的ではありません。流行を気にせず、周囲に合わせることもせず、淡々と自分がやりたいことをやる、という一つの姿勢です。(中略)そうしたブログであるからこそ、あなた自身と他の人とをつなげる効果があります。

No.1212

私もブログを運営していて実感することは、「PVがあるから人生が変わるんじゃない」ということ。人との出会いがあるからこそ、それをきっかけに人生が変わっていくんです。

何を考え、どのような人とつながり、どんな行動をとるのか。人生はそうしたものの総体です。そして、ブログはそうした要素に、少しずつでも変化を与えるのです。

No.1584

あまりにも有名ですが、大前研一さんの言葉が思い出されます。

人間が変わる方法は3つしかない。時間配分を変える。住む場所を変える。つきあう人を変える。この3つの要素でしか人間は変わらない。最も無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。

ブログを始めることで、確実に出会える人が増えます。

Webの世界で、昨日まで面識がなかった人が、今日自分のブログにたどり着く。ある人は「ふーん」で終わるでしょう。ある人は「探してる情報、これじゃないなぁ」と思って足早に立ち去るかもしれません。

けれど、その中には「このブログ面白い」と思ってくださる方もいます。

自分のコンテンツに共感を覚えてくれる人。こういう人との出会いこそが、ブログで得られる最高の宝物であり、人生が変わっていく出会いだと私は思っています。

私も倉下さんの10年に比べたら、ブログ歴は2年ほどしかありませんが、たった2年でこれほど変わるものか、と思うくらいです。

人との出会いで人生は変わり、ブログは間違いなく出会いの幅を増やす。

PVが伸びなくて疲れてしまったとき、何のためにブログを運営しているのか迷ってしまったとき、自分のブログの「哲学」を立ち止まって考えたいときにおすすめしたい一冊です。