『職業、ブックライター。』

「かつて、これほど付箋を貼った一冊があっただろうか」

それくらいに付箋を貼り、メモを取り、見返した一冊になりました。

本の出版に興味のある人なら、確実に必読本。

そうでなくても、「文字で何かを表現して、人に伝えたい」という気持ちを持っているなら、たくさんヒントを得られる一冊になると思います。

ご紹介しましょう!

本を書くということ

本書『職業、ブックライター。』では、本の執筆を請け負う「ブックライター」をしている著者が、どんな生活をしているのか、どんな仕事なのか、仕事をするうえで工夫していることなど、およそ「本を書いてみたい」と憧れる人であれば、知っておきたい内容が次から次へと登場します。

あまりにポイントが多いのですべては紹介しきれませんが、特に印象に残った点を4つにまとめてお伝えします。

  • ブックライターの仕事とは
  • 文章力よりも、コンテンツ
  • 読者に寄り添う
  • その著者であるべき理由があるか

ブックライターの仕事とは

ブックライターというのは、文字通り、「本を書く」お仕事。

「それなら著者じゃないか」と思われるかもしれませんが、一般的なイメージの「著者」と違うのは、「他の人の本を書く」ということ。

本を書くというのは、本当に大変な作業です。

新書一冊で10万字。それだけの文字量を、破綻しないようにまとめ上げるだけでも、とても難しいこと。

まして、著者になるような著名人というのは、本業が忙しくてまとまった時間がなかったり、必ずしも文章を書くプロではないために、せっかくいいコンテンツを持っていたとしても書けない、ということがあります。

ブックライターは、そんな著者にインタビューをして、読者が読みたいようなコンテンツを、著者から聞きだし、それを本という形にまとめる、そんなお仕事です。

もしブックライターという職業がこの世になかったら、今世に出ている本のうちの多くが存在していないかもしれないと思うと、出版業界の縁の下の力持ちかもしれません。

文章力より、コンテンツ

本を書く仕事というと、どうしても文章力が大事だと思いがちですが、それよりも「素材集め」ほうが大切だと上阪さんは語ります。

ブックライターとして本作りに携わるときに、大事にしていること。それは、「素材」にこだわることです。経験であったり、事実であったり、独自の意見であったり。だから、他の著者の本をブックライターとしてお手伝いするときに、書くことよりもはるかにパワーをかけるのが、取材です。(p92)

ブログに置きかえて考えてみると、ブログの文章のうまい下手よりも、「書いてある中身が面白いかどうか」のほうが大事だ、ということ。

私も、ほかのブロガーさんにお会いするにつけ、人気のあるブロガーというのは、「本人がそもそも面白い」というのを実感します。

ここでいう面白いというのは、面白おかしいという意味ではなくて、「何か他の人と違うものを持っている」「何かとんでもないこだわりがある」といったこと。

ブログというのは書き手を映す鏡のようなものですから、「ブログだけを面白くしよう」と思ってもムリで、まず自分の日常を面白いものに変えていく必要があるんですよね。

そうすると、自然とブログも面白くなっていく。これが、「素材集めで決まる」ということでしょう。

読者に寄り添う

素材集めに重きを置いている上阪さんは、著者にインタビューをするときに、聴きたいことをまとめた取材用のシートを用意する、といいます。

私は「取材コンテ」と呼んでいますが、ざっくりとした目次とは別に、取材するための準備シートを作っています。これは、事前に著者にも渡しておいてもらいます。(p67)

ここで「何を質問するか」が、何より大切なこと。

では、どうやって質問を考えるかといえば、「読者の代わりに著者に質問する」。

読者の代わりに聞く、という姿勢を持つことです。(中略)読者だったら、どんなことを聞いてみたいか、イメージしてみる。私はよく、「読者なら、こんなことを聞いてみたいと思うんですよ」という言葉をつけて、質問したりもします。不思議なのは、答えにくいような質問も、「読者なら~」と聞いてしまうと聞けてしまうこと。そして、著者も話せてしまうことです。(p105)

ブックライターは、「著者」と「読者」をつなぐ橋渡しの役割だなぁと感じました。

とにかく「読者」を意識すること。

ブログでも、よく「想定読者」を決めて書きましょうって言われたりします。

難しければ、「昔の自分」を想定読者にして書いてみる、というのも一つですよね。

「誰かの役に立つ記事を書こう」と漠然と思っていると全然筆が進まなくても、「この人に向けて書こう」と思って顔を思い浮かべながら書くと、案外書けたりするものです。

「その著者であるべき理由」を語る

また、読者を意識しつつも、「その著者でなければいけない理由」をどれだけ出せるかも大事な点だといいます。

そのテーマは、その著者でなければならない、という理由があるかどうか。あるいは、そうした必然性がにじみ出る本にできるかどうか。(中略)必然性とは、経験や事実で語れるかどうか、ということだと思っています。(p87)

これはとっても共感。

私も、ブログを書くときには、体験した人だからこそ書けるディテールを盛り込めないかをいつも考えます。

といっても、ディテールを書くのは、正直、大変です。面倒くさいなぁ、と思うこともあります。

ただ、それこそが、Webという玉石混交の世界で、自分のブログを石にまぎれさせない方法だと私は思っています。

まとめ

本書では、ほかにも「ブックライターの執筆術」とでもいうべき、実際に執筆するにあたって工夫されている点が、それこそディテールを大事にする上阪さんらしく、ここまで書くか!というところまで披露されていますので、興味がある方は、ぜひご一読を。

ブックライターの仕事が垣間見れるとともに、出版に興味がある人はもちろん、「文字で何かを表現して、伝える」ということに興味がある人なら、必読の一冊と思います。

文句なしのオススメです。